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身近に潜む危険　〜タマネギ編〜

2024/11/13

こんにちは、Kurumiです。
すっかり街は秋色に染まり、日中も涼しく過ごしやすい季節になりましたね。
その反面、季節の移り変わりはとても体調を崩しやすいので気をつけてくださいね。

さて、今回はワンちゃんには与えてない食材の1つであるタマネギについて着目します。
あげてはいけないことを知っている飼い主さんも多いかと思いますが、今一度なぜ危険なのか詳しく学んでいきましょう。

■タマネギはなぜ危険？
タマネギの強い匂いの素でもあるアリシンという成分が体の中で分解されると二硫化アリルという物質に代わり、
これが犬や猫の赤血球を破壊し深刻な貧血を起こすと言われています。
人間にとってはアリシンは血液をサラサラにして血栓を予防する効果もありますが、
犬や猫にとっては命に関わる毒性物質なのです。
通常アリシンはネギ属に分類される野菜に多く含まれ、タマネギ以外には長ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、
アサツキ、ノビルなどが挙げられます。
もちろん今あげた野菜類もワンちゃんにとっては危険な食材です。
また生のネギ類だけじゃなく加熱や乾燥をしたネギ類にもアリシンが残っているため、与えてはいけません。
ネギ類は餃子などのさまざまなお惣菜や野菜ジュースにも含まれますので注意が必要です。

■どんな症状が起こるの？
よく見られる症状としては元気がない、呼吸回数が増えるまたは呼吸が荒くなる、貧血などが挙げられます。
重度の貧血の場合、黄疸（目の粘膜、歯肉、耳の内側の色、お腹等の皮膚が見える場所が黄色になること）、
チアノーゼ（舌の色が青紫色になること）、血尿などが認められます。
これらの症状が早くて12時間、多くの場合2〜5日経ってから見られるようです。

■どのくらい食べたら危険？
ワンちゃんの場合、体重1kgあたり15~30g食べると貧血が起こると言われています。
タマネギ1玉あたり200~250gあるので、例えば5kgの子がタマネギ1/3個くらい食べると症状が起こる可能性があります。
しかしながら犬によって個体差があるため、これより少ない量でも中毒を起こす可能性があります。

■食べてしまったら？
まずは速やかにかかりつけや近隣の動物病院と連絡を取り、診察を受けるようにしましょう。
その際にタマネギをどのくらい食べてしまったのかを伝えましょう。
基本的に、摂取して2-3時間以内で無症状の場合は催吐処置が有効ですが、もし摂取してから長時間経ってしまっていたり、明らかな症状が現れている場合は集中的な治療が必要です。
タマネギ中毒に対する特効薬はありません。毒素排泄のための点滴や活性炭の投与、その他症状に合わせた様々な治療が行われます。
貧血が重度の場合は、輸血や酸素投与が必要になる可能性もあります。

いかがでしたか？ネギ類によるワンちゃんの中毒はとても多いです。
ネギ類はご家庭で利用されることが多い食材なので保管に注意しましょう。
また、道端やお庭によく生えているノビルは、飼い主さんが見ていない時に誤って食べてしまうことがありますので気をつけてくださいね。

次回は新シリーズ、新米獣医さんの留学日記オーストラリア編がスタートします。
お楽しみに！

【参考文献】

• Stephen J. Ettinger, et al. Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine, 9th Edition. Eric Dunayer. Chapter 138: Hematologic Toxicoses. 2023. 1982.
• 露崎史朗. ネギ属の野菜 (vegetables in Allium). 北海道大学 Hokkaido university
https://hosho.ees.hokudai.ac.jp/tsuyu/top/plt/lily/allium/veg-j.html

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